2018年5月20日日曜日

始まり

私の新学期の授業は5月の連休明けから始まった。
実技授業で、グループ作業が中心である。どんなかたちであれ、社会に出れば否が応でもチームプレーで仕事をすることがほとんどである。食わず嫌い、などとは言っていられない。早い内から、グループワークに慣れることと、日常生活習慣の是正が授業の隠された使命である。とは言うものの、適当にグループを組んでもらうと、どうしても「仲良し」で固まったりする。出席番号順、などという作戦では、授業が違ってもグループは固定化してしまいがちである。男女比、得意そうな分野、出身地など、いろいろと考えてグルーピングする。教える側はそれなりに配慮しているのである。
さて、大学の授業というのは、ある程度システマチックに運営されている。授業の回数の2/3以上の出席で、課題提出あるいは定期試験受験資格を得られる。課題あるいは試験で合格点をもらえれば単位が出る。昨今は、教務課の管理も厳しく、昔のような「代返」はあまり効果がないかもしれない。
勤務校は、専攻分野科目の取得単位によって進級する、というシステムになっている。私の世代だと、1年生の専攻分野の必修実技科目が24単位だとすれば、24単位取得で進級、20単位で仮進級、20単位未満で留年、という具合である。仮進級というのは、とりあえず2年生になってもいいけど、落とした授業は2年の内に再履修して単位を取りなさいよ、というものだ。現実問題として、実技授業に出席するのは時間的に厳しい場合があり、そのような授業は「再履修課題」というのが課されていた。しかし、出席しないと絶対単位が取れない科目というのもいくつかあった。そういう科目は、夏休みか冬休みに別途補習、という作戦になった。暑い夏休みに冷房のないアトリエで作業するのが「アフリカ」、寒い冬休みに暖房のないアトリエで作業するのは「シベリア」、という名前の補習である。留年になると、有無を言わさず、1年の必修授業をもう一度やることになる。落とした年度に取得した実技授業の単位はゼロにリセットされる。
新学期になると、1年生の名簿を見る。昨年も同じ名前があったなあ、と思うと、留年である。私の授業では頑張っていたのに、他の授業でドロップアウトしてしまう学生も時折いる。仕切り直しで2度目の1年生である。たいていの学生は、気分一新、気持ちも新たに1年生を始めるようだ。あまり目立たないし、先輩面もしない。長い一生なのだから、1年などなんぼのものだと最近は思うようになった。今年も数名の留年者がいるようだが、今年こそ頑張ってくれるといいな。

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