引っ越してきた頃は、ずいぶんと雑木林の残る地域だった。東京都と埼玉県の県境、というエリアである。特に交通不便というわけではなく、開発不能か、といえばそうでもない。県境、ということもあって病院が集まっている。母親の時代は、サナトリウムがあったし、今でもハンセン氏病の療養施設がある。つい数年前までは、小児病院があり、このあたりのエリアは「病院銀座」である。
こういった地域では開発のスピードが緩やかになるので、今でも畑が多い。
しかし、ここ数年、近所の雑木林が激減しているような気がする。
近所の女子大学のキャンパス内の林は、数ヶ月でサッカーコートになった。女子サッカーで有名な学校らしい。
自宅近くの林は、あっという間に更地になって、建築資材置き場になった。イントレが山のように積んである。
畑に今年はニンジンが蒔かれていないなあと思ったら、雑草が大きくなり、ある日シャベルカーが入って整地し、小さなお家が何件も建てられ、建売住宅ののぼりが立っていた。
勤務校も同様だが、大学の設備投資の熱心さ、世代交代を見ながら、建築ラッシュな今日この頃を感じる。
10年後も、同じように「建築」が続くのだろうか。その熱が過ぎても、林は戻らないような気がする。