2022年4月3日日曜日

プロセス

 美術館では、ワークショップという教育普及活動の写真記録を手伝っている。広報として使うこともあり、講座の工程を踏まえながら活動の様子をドキュメントとしてまとめている。ある講師は、工程を見せないで欲しい、と通達があった。作業工程はオリジナルであり、公開することによって同様の工程で制作される恐れがある、ということだった。まあそれも、わからなくはないが、同じ課題、同じ工程でも、指導教員によって、最終的なアウトプットはかなり違ってくるものである。

R.マリー・シェーファーという人の本に「サウンド・エデュケーション」というのがあり、いわゆる「音系」のワークショップネタが並んでいる。出版された後の数年は、あちこちでこのネタやプロセスを使った講座やワークショップが行われていた。今もその手の活動で、マリー・シェーファーという名前が表には出ないにせよ、ネタを使っていることがある。温故知新、ぐるっとまわって、若い人には新鮮なのかもしれない。

2022年4月2日土曜日

夏休みの宿題

 課題として制作されたのであれば、そもそも作品のコンセプトが「課題」であり、純粋に自主的な作品ではない。そこまで目くじら立てるのはナンだなあ、と思ったことがある。

美術館で夏休みに行っているワークショップという教育普及活動がある。子どものコースで制作された作品が、「夏休みの自由制作」として提出されていたことがあった。自主制作なのに、同じコンセプト、似たようなスタイルとタイトルの作品が複数出てきて、学級担任が疑問に思ったらしい。制作のコンセプトとプロセスは、美術館が用意したので、全部が子どもの「自主」ではないからだ。

こういったことは、ビミョーな部分も多くて、どうすべき、とは正解が出ないものかもしれない。

2022年4月1日金曜日

公開

 義務教育の現場はこういった様相で、どちらかといえばオープンな感じだった。わからん、うまくいかん、などとつぶやこうものなら、「教えたがり」が多いこともあって、いろいろと教えてもらえることが多かった。逆に言えば、教育現場は著作権については、少し「ゆるい」印象がある。授業内で見せているさまざまな作家の作品はもとより、出来上がった生徒の作品などなど、今日ではいろいろなかたちで発信されている。

以前関わっていた専門学校で、授業内で制作された課題作品が、学校案内に無断で使われた、学生氏名が記載されており個人情報保護法違反ではないか、と訴訟騒ぎになりかけたことがあった。以降、入学前の書類審査のための提出書類の中に、課題作品の著作権と使用権についての条項が盛り込まれた。作品のオリジナルは学校が所有する。著作権は学生が持つが、作品の使用公開権は学校が持つ、というものだ。つまり、学生に著作権はあるが、作品を個人では公開できない。がっつり文書になって、署名捺印の上、入学時に提出することになった。