2018年2月16日金曜日

下半分

冬になるとドラッグストアにマスクが並び始める。種類の多さに、ときどきびっくりである。
こんなにマスクを使うようになったのは、花粉症がポピュラーになってきた頃からだろうか。最近は、風邪、インフルエンザと、罹患中なのか予防中なのか、ともかくマスク人口が多い。単に「寒いから」という学生さんもいた。「マスクすると、あったかいんですよお」。
4月の新学期、私の担当授業は5月始まりなので、「単に寒いから」マスク、な学生はあまりいない。初夏にもなると、花粉症もピークを過ぎるので、たいてい風邪だ。時には、「年がら年中アレルギーで」、という学生もいる。3週間の集中授業で素顔の出席はなし、ということがある。
そういう学生さんの「顔」は、マスク付きで記憶される。おかっぱ、黒縁眼鏡、プリーツ仕様のちょっとピンクのマスク、というセットである。
研究室から回ってくる名簿には、名前とフリガナ、証明書に使った顔写真がリストになっている。もちろんこちらは「素顔」なので、マスクはない。だから、名簿の顔写真と、授業中のマスク学生が同一人物なのかどうか、心もとない。
たまたま、街中で学生さんに声をかけられた。うーむ、誰だったかなあ。「私ですよ、わ、た、し」、と言われても顔に覚えがない。しばらく話をしていて、ああそうだ、と思った。マスクをしていないのである。授業中は、マスクをずーっと使っていたので、顔の下半分を見たことがなかったのだった。

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