年末年始年度末のエキストラの作業は、美術館に寄贈されていた資料の複写だった。
1926年から28年ごろをパリで過ごしていた日本人画家の収集物で、図書館学で言えば「エフェメラ」と分類されるのかもしれない。担当学芸員が曰く、「目の前を通り過ぎた紙を全て掴んで帰国した」ようである。帰国したのが1929年、戦争を経て、家事や引越しにも遭遇せず、そのまま箱詰めされたような資料である。ヨーロッパへ行く船の中のメニューや、現地の交通機関や美術館のチケット、旅行の切符、くらいは、普通の人なら持って帰るかもしれないが、生活費の領収書、絵の具やさんのカタログ、デパートの包装紙や商品案内、書店の新刊案内、キャバレーのグラビアパンフレット、ホテルカード、ハイヤーの予約票、レストランの爪楊枝、絵葉書、新聞、などなどである。
ともかく数があるので、複写して資料整理、ということになり、複写を手伝うことになった。
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