もともとは、20年ほど前から資料整理が始まっていたのだが、昨年度から一気に再整理をすることになったようで、全部の資料を開いて詳細なリストを作り始めた。当時と今では何が違うかといえば、資料整理にあたってインターネットで情報が探せることである。
地名や、劇場名、演目や出演俳優、イベントのタイトルなどは、とりあえずグーグルさんで探してみる。当時では想像もつかないほど、多くの情報を探せる。劇場のチケットには日付と劇場名、座席指定しか入っていない。しかしグーグルさんで、当日どんな芝居を、どんな場所の席から鑑賞していたのか、ざっくり判明してしまう。びっくりである。
一方で、オンラインの翻訳ツールやサイトは、フランス語ではあまり役に立たないことも発見した。電子書籍の辞書も、英語以外はあまり適切なのがなく、結局大きな辞書を抱え込んで券面を読むことになった。複写に来たはずが、半分以上の日程が「資料整理」になってしまった。
ところがこれが、当時の風俗や文化もわかってなかなか面白い。違う世界を知る、というよりは、他人の生活の覗き見のような資料でもある。いつどこに行き、何を見て何を買ったのか、わかるわけで、船旅の途中でやけにサイダーの注文が多かったりする。連日のように「レモネード」と「サイダー」のレシートがある。サイダー好きな画家である。
思わず自宅のテーブルの上のレシートの品名を思い出し、帰ったら捨てなくちゃと考えた。