ぼちぼち勤務校も入試体制である。しばらく前にセンター試験の問題が新聞に出ていたりなどした。受験とは、まあ通過儀礼のようなもの、なのかもしれないが。
国語の試験問題ではよく「読解問題」というのが出る。文章を読ませて、設問に答える、あれである。「このとき、主人公は何を感じたか」とか、「作者の意図を200字以内で書け」とかいうものだ。余計なお世話だよねーと思いながら、答案用紙を埋めていたことを思い出す。今は昔、である。
入学試験の問題に使われるこの手の「文章」というのは、著作権と言うのがどうなっているのかよく分からないが、もちろん当の作者本人にも「今年の入学試験で貴方の小説『なんちゃら』の第1章後半を使わせていただきます」などという連絡は入らない。連絡を入れたりしたら、問題漏洩になってしまうからである。
だから、入学試験が終わって、問題が公開されてから自分の文章が使われていた、ということがあるそうだ。
世話になった先生のうちのおひとりの文章が、ある大学の入試で使われたことがあった。国語の読解問題である。案の定、文章の意図や作者の思いなどを記述する、という設問である。本人が問題を見てびっくり、模範解答を見てもう一度ビックリ、だったそうだ。本人の全く意図していないことが「正解」だったらしい。いやいや違うんだけどな、と言ったところで既に採点は終了している。
読解問題とは難題である。