2020年8月9日日曜日

お願い

 ちょいと昔は、大学と言えば「お馬鹿なところをやるところ」といった側面もあった。いろいろなサークルがあるが、私の学生時代には「ネコ部」というのがあった。ネコとは、実は関係なく、単に「何かにつけて飲む会」である。「サークル」として、組織をつくって届ければ、学校から年額数千円ほどの「活動費」が支給される。もちろん、飲み会の費用と化すだけだ。ブチョーも割り勘である。
まあともあれ、「お馬鹿なこと」も含めて、青春だったりするのだろうが、そこは大学なので「お馬鹿なこと」ばかりやっていると、単位が取れず留年することになる。単位は単位でそつなく取得した上で「お馬鹿なこと」をするのがスマート、だった。優等生は「お馬鹿なことをしない」ので、「スマート」ではないのである。卒業証明書に、成績はついてこない。単位取得したか否か、だけなので、優良可だったのか、単位取得に何年かかったのかは明記されなかった。
「手に職」に近いジャンルなので、「卒業」が人生のゴールではないし、「卒業」したからと言ってその後の人生が順風満帆とは言えないことは、卒業生を見れば、よーくわかる。「中退したら有名人」なケースも多い。卒業生全員が「プロの芸術家」として生きられるわけではない。不運だったり、報われなかったり、という人生も、先輩からはよく聞かされた。最終ゴールが「喫茶店のマスター」、というのが「よくあるハナシ」だった。
今や、大学から「留年させない」「脱落させない」「卒業させる」のが至上命令に近いので、お願いだから課題を提出してくれと学生に連絡するのは、講師と研究室のスタッフである。何だか違うよなあ、と思うのだが。

2020年8月8日土曜日

第2波?

またぞろ、感染者数が毎日のニュースでトップである。日々更新、などと、数だけ見ると「Go to な旅行へ行っている場合か」などと思ってしまう。後期授業も全面リモート、と決断した大学もあるようだが、ケニアの「今年度はなかったことにしよう。全学年留年だ」作戦の方が潔いとも感じてしまう。まあ、それはそれで、いろいろと後の作業は大変そう、ではある。「大学生活を返せ」という現役大学生のSNS発信が話題になった。授業ばかりではなく、青春ナ学生生活を返せ。ただし、彼らにとっての学生生活とは決して「授業してしっかり勉強する」ことばかりではなく、サークル活動課外活動楽しい放課後活動など、「授業以外」を大きく含んでいるような気がする。
まあ、翻って我々の頃は、もっと学生生活というのがゆるかった。「授業以外」に何をやるか、ということも含まれていた。今日の大学では「やらねばならないことリスト」がとてもたくさんあって、「ゆるい」どころか「がちがち」である。勤務校は、実技系の学校なのだが、最近の学生さんはサークル活動にあまり参加しない。そもそも「群れる」ことに慣れていない。サークル活動に参加して「群れる」ことに慣れるのだが、それすらしない。なぜか、と言えば、「課題が忙しい」のである。教える方もなぜか以前に比べると「ガチガチ」である。前年度秋頃に「シラバス」というのを作成する。授業の目的や到達目標、採点基準などを決め、授業日ごとの授業内容をリストにする。授業日程が終わると学生にアンケートが配られ、シラバスと授業進行について、齟齬がないか、変更なく進んだか、などと調査される。学生の顔を見て、学生の様子を見ながら、臨機応変に授業を進める「ゆるさ」は微塵もなく、シラバスと違うことはやりようがない。ある意味でシステマチックなのだろうが、これでは「パッケージ」である。

2020年8月5日水曜日

一段落

感染症拡大防止のため、入構禁止措置がとられていたが、段階的に緩和され、勤務校では対面授業が可能になった。早々に、夏期休暇を削って担当科目の実習授業が始まり、3週間、一つのクラスの集中講座が終了した。
梅雨明けが遅かったというのもあって、何となくいつも通り、夏期休暇前の授業のペースに近かったような気がする。
講義科目はほぼ「リモート授業」に移行しつつあり、感染症終息の見通しがつかなければ、来年度も続行の可能性が否めない。勤務校では別途通信教育課程も併設しており、こちらは例年より提出物も多く、また学習ペースが早いような気がする。ステイホーム効果、とスタッフは称している。
対面授業は例年よりも出席率が高く、脱落者も少なかった。入学以降、この授業開始が初登校日という学生がほとんどで、新鮮な気分だったということもあるだろう。一方で、感染症が不安なので、「通学したくない」という学生もいたり、未入国の留学生も若干おり、こちらは別課題で個別対応することになった。はっきり言うと、時間外労働である。
リモート授業も増えて考えることは、通信教育課程と通学課程の違いでもある。通信教育課程は履修登録をすると、登録授業のテキストと課題が送付されてきて、それに沿ってレポート作成、テスト、というのがいわゆる講義科目にあたる。実技の方は、課題に沿って作品を作成する、対面授業で作品を制作する、というのが授業によって違っている。両方行う科目もあれば、どちらか一方で進行する科目もある。対面授業は、スクーリングと呼ばれていて、以前は通学課程の夏期休暇中と冬期休暇中、工房や教室が空いている時期に設定されていた。現在は、駅近くのビルなどで週末を使って開催されていたりする。社会人の学生が減少した、スクーリングのための長期休暇が取りにくい学生が増えた、ということも聞いた。学生の方の状況も変わるのが、通信教育の特徴でもある。リモート授業が続行する、あるいは増えるのであれば、通信教育との違いは何だろうか、と考える。